相続人が認知症の場合の遺産分割
相続人の中に認知症(意思能力がない)の診断のある者がいる場合、その人を除外して遺産分割協議を行っても、遺産分割協議は無効となり認められません。
寿命が延び、配偶者などの相続人も高齢で認知症の場合が増え、相続手続きがスムーズに進められないケースが増えてきています。
相続財産の分け方
遺言書がなく、相続人に認知症により意思能力がない場合、認知症の方を無視して遺産分割協議をすることはできません。認知症の相続人も相続人としての権利を有しています。
意思能力がない相続人がいる場合、相続財産の分け方は以下の2つです。
①法定相続分で分割する。
②法定相続分で財産を分けない場合は、成年後見制度を利用して遺産分割協議を進める。
成年後見制度の問題点
成年後見制度とは
認知症や知的障害などで判断能力を失ってしまった人の権利を法律的に支援・保護するための制度で、本人に代わり代理人が不動産や預貯金の財産を管理したり、契約を結んだりします。遺産分割協議も本人の不利益にならないように後見人などが代理で行います。
問題は後見人の選定申し立てから後見開始まで約4ケ月程度かかり時間がかかることです。
また、後見人になって欲しい人として親族の名前を記載しても、裁判所が選定するために、面識のない弁護士や司法書士などが貢献人になってしまうことがあります。(遺産分割協議に参加する相続人は認知症の相続人と利益が相反するため、後見人に選ばれる可能性は低い)
また、選ばれた後見人は本人の利益を守るのが仕事ですので、本来相続できる法定相続分を主張しますので、認知症の方の面倒を見る人が財産を多く相続したいと思っても、そういうわけにもいきません。
対策としてできることは、遺言!
家族に認知症リスクのある方や知的障害者がいる場合、生前に遺言書を作成しておくことで、遺産分割協議をすることなく、不動産や預貯金について相続手続きをすることができます。
生前中に、遺言書の作成をしておくことで、誰にどのような財産を遺すのかを明確にし、相続人が遺産分割協議で揉めるのを防ぐだけでなく、相続手続き自体もスムーズ進めることができます。
関連した記事を読む
- 2024/10/21
- 2024/10/19
- 2024/08/26
- 2024/03/29