境界線上の所有者不明のブロック塀
境界線上の所有者不明のブロック塀、古いから取り壊したいけど、どうしたらいいのかという相談がありました。裁判の判例があるので参考にして下さい。
【境界塀の建替え工事】
土地を購入した買主が、境界線上に設置された所有者不明のブロック塀が購入した土地に一部越境しており、越境物の建て替え工事を行うため、隣地所有者に対し、土地の一部使用と工事の妨害禁止を請求した事例(東京地判 令元・7・18)
所有者不明のブロック塀を裁判所は共有物と認定
裁判所が越境部分を含めブロック塀すべてを共有物と認定した根拠とは?
①ブロック塀の2/3が境界線上に存在すること。
②従前の土地所有者と越境部分についても紛争がなかったこと。
③過去に隣地所有者同士が破損が生じた際に、費用を折半して修復工事をしていること。
などから、民法229条(境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝、および塀は、相隣者の共有に属するものと推定する)により共有物と認定しました。
結論
越境部分も含めブロック塀を共有物と認定し、民法251条(各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない)に基づき、請求を棄却。
共有物は、他の共有者の同意を得なければ取り壊したり、建替え工事を勝手にはできないので、注意が必要です。
民法改正による軽微な変更
民法改正前は、共有物の変更行為にあたるものは一律に共有者全員の同意が必要でした。ごくわずかな物理的変化「変更行為」があった場合でも、共有者全員の同意が必要となります。共有者のうち1人でも反対すればその行為はできませんでした。
令和3年改正より軽微な変更は狭義の管理行為として、共有者のの過半数で決定できることになりました。
判例は民法改正の前ですが、建替え工事は軽微な変更になるでしょうか?
法務省が軽微な変更の事例を出していますが、共有のブロック塀の建替え工事は軽微な変更には当てはまらないだろうと思います。
古くなった共有のブロック塀の修復(保存行為:共有物の現状を維持するための行為)は共有者は単独で保存行為を行うことができます。
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