地中の埋設物にも注意しよう!
不動産の売買において、越境物があるのは珍しくありません。
特に、区画整理されていない土地や50年以上前に築造されたブロック塀など、当時は測量して境界杭を入れていないことも多く、境界に作られた塀が越境していることがけっこうあります。
また、地中の越境は掘ってみないとわからないので、注意が必要です。
写真の塀は境界の際に建てられており、塀自体は越境はしていないものの、塀が高く境界ギリギリである場合、もしかしたら基礎のベースが越境しているかもしれない!ということで掘ってみました。
予想通り、地中の基礎ベースが越境していました。50cmほど掘ってようやく見えてきました。
越境している基礎のベースの幅も、25cm~10cmと異なっていました。念のため、境界杭の近くも掘ったのですが、写真の25cmの越境が最大で、写真の下側に向けておよそ10cmで、境界の隅まで同じ幅で越境しているようでした。
契約前に判明して良かったです。
越境物をどうするのか
越境物が判明した場合、
「現状を容認するが、将来、塀を取壊し新たに塀を設置する際には、自己所有地側に施工する」旨の覚書を取り交わすのが一般的です。
しかしながら、越境の幅が25cmもあると、購入者がブロック塀をするのに支障があり、越境物を避けて積むにも、25cm以上控えなければなりません。
覚書を取り交わしていたとしても、売主としては
このような越境物がある不動産を購入する方がいるのか?
あるいは土地の価格の値下げなどの交渉が入ってこないか!など心配になるものです。
解決策
越境物を解消するためには、以下のような方法が考えられます。
①越境しているブロック塀の所有者に取り壊してもらう
②越境している部分を分筆して、越境している所有者に買い取ってもらう
③越境している部分を分筆して、贈与する
④越境している所有者の承諾の上、こちらで取り壊して、解体・撤去費用を越境している 所有者に請求する
⑤越境している所有者の承諾の上、こちらの費用負担で取り壊す
いずれにしても、費用がかかります。
①解体・撤去費用
②土地売買代金・登記費用・不動産取得税
③登記費用・贈与税・不動産取得税
④⑤解体・撤去費用
余談ですが、贈与などでも不動産を取得した時に課税される不動産取得税は、以下の場合は免税です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
課税標準となるべき額が次の額に満たないものに対しては不動産取得税は課せられない(法73の15の2)
〇土地の取得については10万円
〇家屋の取得のうち建築に係るもの1戸(共同住宅等にあっては、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分)につき23万円その他のもの1戸につき12万円
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いずれにしても、①~④は越境している側が費用負担をしなければなりません。
越境している側が解体撤去してくれたり、費用を負担してくれれば、問題ないのですが、何十万円もかかる場合、応じていただけない場合もあります。
かといって、越境されている側が、越境物の解消のために何十万円も費用負担して取り壊すのも、心情的に納得いくものではありません。
時効取得の阻止、覚書は必要
越境の解消を目指すとしても、越境部分は隣地所有者に占有されている状態ですので、
時効取得を阻止するためにも、測量した際に、自分自身の土地にブロック塀が越境している旨が記載された確認書を作成しておかなければなりません。
越境部分を借地にしたケース
今回のケースではありませんが、
売買に絡まないケースで、遺産分割のために相続を受けた不動産の測量をしたら、隣地の方が、50cmほど越境していたというケースがありました。
この場合では、わずかながらも借地料をいただくことにしましたが、覚書も取り交わし、塀を取り壊す事情が生じた場合、越境している側の費用負担で行うことや塀の再建築の際には、越境しないように施工する旨も記載されています。
結局
今回の売買のケースでは契約前に判明したこともあり、買主に現地で説明の上、現状(越境した状態)での引渡しであること、覚書を継承していただくことも了承が得られ、契約に至りました。
契約前に判明していたので、トラブルが回避できたケースです。
関連した記事を読む
- 2024/10/15
- 2024/10/11
- 2024/09/09
- 2024/08/17