既存擁壁の扱い方
既存擁壁がある場合、安全性の前提は『検査済証』の有無です。
ところが、『検査済証』が無い場合もよくあります。
そもそも、宅地造成等規制法の区域以外で高さ2m以下の擁壁を築造する場合は、工作物申請の必要がありません。
申請が必要ないと言うことは、当然に検査もありません。
ですから、高さ2m以下の既存擁壁がある場合は、擁壁の施工図や構造図がないと安全性の確認が出来ず、建物を建築する設計士が困ってしまうこともあります。
また、『検査済証』がない擁壁の場合でも、次の4つの条件に該当すれば残せる可能性が高く、この場合は、建物基礎で安全策を講じることを条件に建築確認申請が受理されると思われます。
その4つの条件とは
1. 水抜き穴がある。
2. 擁壁が風化したり、土圧や水圧ではらんでいない。
3. 目視上しっかりして安全そうである。
4. 二段擁壁ではない。
写真の擁壁は、間知石積みの上にCB1段積みがあるものの、宅盤は間知石積みの高さなので、問題はないと思われます。
また、上記の1~3についても問題がありません。ですから、既存の間知石積みを残すことは問題がないと思われます。
問題は、建物の配置計画と基礎補強のやり方になります。
この辺りは、建築会社によってずいぶん変わりますので、既存擁壁がある土地を検討する場合は、建築会社にもいち早く見ていただきましょう。
基本的に設計者判断になります。
既存擁壁がある土地は、安全性に関しては再チェックする必要がありますが、上手に使える場合は、日当たりの面で有利な土地もあります。
今回の土地も、南側隣地より地盤が高く、更に水路敷きもある事もあり、既存擁壁は日当たり面では有利に働いています。
いずれにしろ、高低差が1mを超えるような既存擁壁がある土地を検討する場合は、注意してくださいね。
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