隣地境界線のブロック工事について
土地の売買のときに問題になることがあるのが、境界線付近のブロックです。
昔の分譲地では隣地境界線上にブロックを積んでいた時期もあり、古くなったブロックやフェンスが隣地との共有になっていることがあります。
数十年経過したブロックやフェンスは傷んでいる物も多いのですが、共有物になっている場合は補修工事が行われていないことも多いです。
昔はフェンスの材質がスチール製だったこともあり、錆びて朽ち果てて危険な状態になっていることもあります。
さらに、境界線に沿って共有のブロックを積んだつもりが、売買の際に確定測量を行ったところ、境界位置がずれて共有のつもりのブロックが相手側の敷地に入っていることになったり、その逆になることもあります。
このような現状から、現在では境界線のブロックやフェンスはそれぞれの敷地内に作ることが主流になっています。
ブロック等の土留めの基本的考え方
建築基準法第19条(敷地の衛生及び安全)の第4項では、建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁等の設置その他安全上適当な措置を講じなければならないとされています。
ただ、実際には、基本的には土地の利用により必要が発生した際に工事を行うことが多いと思います。
写真の土地の土留めのように、土地利用者が車の乗入等を作る関係でわざと宅盤を下げた場合は、高低差を作った土地利用者が隣地所有者に迷惑をかけないように土留めを作る必要があります。
どの位置にブロックをつくればいいのか?
隣地との境界線付近にブロックを積む場合、境界線ギリギリにブロックを積むような工事はしません。
境界線ギリギリにブロックを積んでもいいのですが、この場合は施工上、必ず隣地を使用しなければ工事はできません。
境界線からどれくらい控えたところにブロックを積むのかは、工事業者によりマチマチですが、2センチくらいの現場が多いのではないでしょうか?
高低差が大きくてブロックではなく擁壁を施工する現場の場合は、5センチくらい控えることもあります。
また、擁壁に水抜き穴を施工した場合は当然、その水を自分の敷地内で処理する必要がありますから、小さな側溝を入れる必要があるケースもあります。
この水抜き穴からの排水が隣地所有者からクレームになり水抜き穴を埋めてしまうことが多々あるのですが、当然ながらよいことではありません。
上記の写真のようにお互いが境界から控えて擁壁やブロックを施工した場合は、5㎝程度の溝が出来ますから、水抜き穴からの排水が問題になることもそれほどありません。
ただ、お互いの間の土地に草が生えることが最大の欠点になります。お互いがブロックの上にフェンスを施工してしまった場合は、草の処理が大変になりますので、隣地所有者と事前に話し合いをした方がいいでしょう。
よくある質問
よくあるのが、『隣地所有者がブロックを積んだ場合、自分は積まなくてもいいのですか?』と言う質問です。
こちらについては隣地所有者との人間関係次第としか言いようがありません。
『私は境界から控えてブロックを積んでいるのですから、貴方も自分の敷地内にブロックとフェンスを積んでください!!』と言ってくる隣人もいるでしょう。
また、ペットやお子様が隣地のフェンスをよじ登ったり、いたずらすることもありますから、くれぐれも揉めないようにしていただきたいです。
余分な工事をしたくないお気持ちも重々理解できますが、そのことにより人間関係がおかしくなることは避けていただいた方がいいと思います。
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