住宅地の選び方 part1
土地をお探しになる時にはどんなことに注意して探されていますか?各自治体は土地の利用方法について法律で細かく定めています。
今回のお話しは土地購入時の重要事項説明書の内容の一部になりますが、是非事前に知っておいていただきたいと思います。
都市計画区域
上図で色で囲まれているところが愛知県内における都市計画区域内になります。
都市計画区域には市街化区域と市街化調整区域と、このような区分がなされていない区域(非線引き区域)がありますが、愛知県内においては非線引き区域はありません。
市街化区域は、既に市街地を形成しているか、若しくは概ね10年以内に市街化を計画的に図る地域で、市街化調整区域は、当分の間、市街化を抑制すべき区域です。
市街化区域には用途地域等の定めがあり、これをしっかり吟味して土地の場所を選ばないと後々後悔することになります。
また、市街化調整区域は基本的には建築物の建築はできない区域ですが、例外も認められています。
この市街化区域と市街化調整区域の線引きが行われた日は、愛知県においては昭和45年11月24日になります。この日は大事な日ですので覚えておいてください。
用途地域
用途地域は13種類ありますが、大きく住居系(8種)・商業系(2種)・工業系(3種)の三種類に分かれます。
工業専用地域以外は住宅の建築ができますが、住宅用地を選ぶのでしたら、基本的には商業系、工業系の用途地域は避けた方が無難です。
商業系は駅周辺に指定されていることが多いので、駅周辺をどうしても希望する場合は仕方ないですね。
商業系の地域は、近隣商業地域で建ぺい率80%・容積率200%、商業地域で建ぺい率80%・容積率400%の指定となっており、高層建築物が建築し易く、土地の有効利用が図れる地域です。
特に、商業地域は日影規制がありませんので、この地域の土地を購入した場合、土地の周囲がビルで囲まれても文句の言いようがありません。
また、防火に関しても制限があり、準防火地域に指定されていますので、建物の外壁や軒裏、窓等に防火措置を取る必要があるため、建築コストも増加します。
工業系の地域の中の準工業地域は最もいろいろな用途の建物が建築し易い地域になります。
しかし、昨今では工場がなくなり、ほとんどの地域が住居系へと変わりつつあります。
一度住宅街が形成されると、いくら用途地域上では建築できるとは言え、新規に工場が建築されることは少なくなありました。
弊社が準工業地域で大規模な分譲を行う場合には、より良い環境にする為に『街づくりガイドライン』を作成して、これを遵守する方にのみ販売を行っています。
余談ですが、工業系の地域になると原動機の制限が緩和されますのでコンプレッサー等が使用できます。
私のお客様で車やバイクが趣味の方が見えまして、自分はガレージで作業がしたいからと言う理由で、わざと準工業地域の土地を買ってもらった経験があります。
ただ、周辺が住宅地になっていますと、いくら合法とは言え、騒音や機械音で近隣からクレームが来ないように注意しないといけないのは言うまでもありません。
さて、いよいよ住居系の地域になります。住居系の地域は建ぺい率60%・容積率は100~200%の間で指定されています。
◆第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域
住宅、幼稚園、小中高校、図書館、派出所、神社、公衆浴場、診療所、保育所、老人ホーム以外の建築はできません。最高高さ制限(10m)があり3階建てまでの建築物しか建築できません。
ある意味最も住環境が守られている地域になります。ところが、北側斜線制限と言う厳しい制限が有る為、小さい土地を購入すると建築計画で困ることもあり注意が必要です
。
◆第2種低層住居専用地域では第1種低層住居専用地域適格建築物の他、150㎡以内の店舗等に限り建築が可能な地域になります。
◆第1種中高層住居専用地域
第2種低層住居専用地域適格建築物の他、大学、病院、500㎡以内の店舗等、300㎡以内かつ2階以下の車庫等に限り建築可能な地域になります。
事務所の建築ができない地域であることに注意してください。
◆第2種中高層住居専用地域
工場、ボーリング場、パチンコ屋、ホテル、自動車教習所、カラオケボックス等、劇場・映画館等、1,500㎡超又は3階以上の事務所・店舗等、営業用倉庫、キャバレー、料理店、個室付き浴場、一定の危険物貯蔵所、一定規模以上の車庫等の建築が禁止されている地域になります。
◆第1種住居地域
一定の工場、パチンコ屋、カラオケボックス等、劇場・映画館等、3,000㎡超の事務所・店舗等、営業用倉庫、キャバレー、料理店、個室付き浴場、一定の危険物貯蔵所、一定規模以上の車庫等の建築が禁止されている地域になります。
◆第2種住居地域
一定の工場、劇場・映画館等m営業用倉庫、キャバレー、料理店、個室付き浴場、一定の危険物貯蔵所、一定規模以上の車庫等の建築が禁止されている地域になります。
◆準住居地域
一定の工場、200㎡以上の劇場・映画館等、キャバレー、料理店、個室付き浴場、一定の危険物貯蔵所等の建築が禁止されている地域になります。
◆田園住居地域
第1種低層住居専用地域適格建築物の他、農産物の生産、集荷、処理または貯蔵に供するものや、農業の生産資材の貯蔵に供するもの等に限り建築可能な地域になります。
要約するとこんな感じです。個人的には、第1種低層住居専用地域の場合は土地面積・形状に注意をしていただき、第1種低層住居専用地域から第1種住居地域までの間の用途地域の土地を購入していただければ良いのではないかと思います。
これらの地域は、第1種低層住居専用地域を除いて、購入する土地の南側には3階建ての建物までなら簡単に建築されてしまいますので(日影規制は10mを超える建築物に適用になる為)、そこは注意してください。
ちなみに、刈谷市においては、第2種低層住居専用地域と準住居地域の指定はありません。
大事な注意点
購入しようと思う土地のすぐ周辺で用途地域が異なる場合は注意してください。
矢印の場所を購入した場合、その土地は第1種住居地域にありますが、土地の南側・東側は近隣商業地域となりますので、ここにはパチンコ店やカラオケボックス、飲み屋さんが出来てしまいますよ。
それから、市街化調整区域の土地ですが、用途地域は無指定となっています。
基本的には建築物の建築はできませんが愛知県基準開発審査会第17号に該当する土地と建築物の場合は建築が可能になります。
この土地の要件の一つとして、冒頭でお話しした、線引き前(昭和45年11月24日)から土地の登記簿が宅地である必要があります。
刈谷市内だと、小垣江町、半城土町、一ツ木町、今川町、東境町、西境町、井ヶ谷町の一部が該当します。
安城市だと、高棚町、福釜町、和泉町、東端町、根崎町、城ヶ入町辺りが代表的な場所ですが、安城市は市街化調整区域が多く、他にも該当する町がたくさんあります。
用途地域は頻繁にではありませんが見直しが行われることがありますので気を付けてくださいね。
用途地域図は各行政のHPで閲覧出来ますので、気に入った土地を見つけた場合には必ず見るようにしてください。
用途地域図には新しく作られる予定の道路(都市計画道路)の情報も載っていますので、そこもご注意ください。
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