土地の測量について
土地の売買の際には、買主に境界を明示しなければなりません。境界に不明な場所が有った場合は、土地家屋調査士に測量を依頼して境界の確定を行います。
測量図には種類があり、測量には誤差があります。これらの説明と実務上気を付けていることをご紹介させていただきます。
土地の取り引きの中でトラブルが起こることが多い測量のお話しです。
測量図の種類
売買で使用する土地の測量図には確定測量図と現況測量図があります。
確定測量図とは、全ての隣地所有者の立会いを得て境界確定されたもの(官有地に接する場合は、官民査定手続きも経たもの)をいいます。現況測量図は、上記確定測量図以外のものをいいます。
法務局に地積測量図が備え付けられていることがありますが、この地積測量図は確定測量図であるとは限りません。
また、40数年前の古い地積測量図の場合は参考図面程度としてしか使わないこともあります。
下の図を見てください。左が法務局に備え付けられていた昭和44年の地積測量図です。
面積の計算は底辺×高さ÷2の三角形の方程式を使っています。
この地積測量図では現地で境界位置を復元することはできません。
右が確定測量図です。座標求積表が付いてます。
もし境界杭が無くなってしまっても、現地を測量した測量士に依頼すれば境界杭を復元することができます。
測量の誤差
そもそも測量には誤差が認められています。
土地の表示に関する登記に添付する図面の誤差限度は、当該土地及びその地域においての登記所備付けの地図の精度に準ずるものとされています。
例えば、中都市の市街化区域にあたる精度区分が甲2地域の土地の場合、その土地が165㎡だった場合、面積の公差は1.102㎡、筆界点の位置誤差は20㎝になります。
測量の実務について
測量士は対象地とその周辺について、自治体や法務局で調査をし、過去の測量の資料等を取得します。
そして、対象地だけでなくその周辺を広く測量し、その結果を基にして境界位置を推定した現況測量図を作成します。
現況測量図ができましたら、私と測量士が打ち合わせをして現況測量図で問題点はないか検討を行います。もちろん、売主様の了承のもと行います。
例えば、もともと既設杭が有った場合でもその位置を動かしたい場合もあります。
下の図は37㎜杭を移動しました。これは、現在の杭の位置では隣地所有者の土地は登記簿面積が確保できない為です。
前述したように、もともと測量は誤差が認められています。
その誤差範囲の中で境界位置を調整して、隣地所有者との立ち合い時にいかに気持ちよく境界位置を承認していただくのかを考えます。
測量の結果、ブロックやフェンス等の越境が発覚することがあります。
この場合、解消出来ることが望ましいのですが、撤去できない場合も多いです。
このような場合は、将来、やり替える際には境界内に築造する等の覚書を取り交わすようにしています。
測量を依頼される場合は、コミュニケーション能力や説明能力に長けた測量士に依頼しないと余分なもめ事の元になるので注意してくださいね。
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