所有者のはっきりしないブロック塀の修理費用
地震で隣地の境界線上にある古いブロック塀が自分の敷地側に倒れてきました。
撤去と修理をしたいのですが、昔からある古い塀なので、お隣の物なのか、こちらの物なのかわかりません。当時の関係者がすでに亡くなっており、お隣に聞いてもはっきりしません。
撤去費用や修理費用は全額自分で負担しなければいけないのでしょうか?
塀の所有者がはっきりしない場合
法律は、境界線上に立っている塀で、その所有者がはっきりしない場合、相隣者の共有に属する者と推定しています。
隣地の方や自分が塀の所有者と立証できなければ、共有として扱われるので、修繕費は双方が平分して負担すべきものになります。
修繕に隣地の承諾が得られない場合
隣地の方が塀の修繕の承諾をしてくれなくても、単独で修繕をすることは可能です。(民法252条5項)
修繕にかかった費用は、本来、隣地が負担すべき分について請求はできます。しかし、実際に支払いに応じない場合は訴訟を起こして回収することになりますが、訴訟をする費用と手間を考えると、現実的に修繕費を回収するのは困難な場合もあります。
第252条(共有物の管理)民法改正
民法改正により民法252条は2〜5項が新設されました。1項は実質的に変更はありません。
①2項として,共有者に代わって裁判所が管理行為の決定(裁判)をする制度が新設されました。民法251条と同じ、共有者やその所在が不明である場合に加え、共有者に意見を催告したが反応がない、というときにも適用されます。
②3項は、一度共有者として決定した使用方法を変更する、ことについて原則として管理行為としつつ、特別の影響が及ぶ共有者の承諾を要する、という規定を新設しました。
③4項は、一定の期間を超えない賃貸借と使用貸借の契約締結(権利設定)について、管理行為に分類されることを規定しました。
④5項はもともとただし書であったものを独立した項にしました。
第252条(共有者の管理)条文
(共有物の管理)
第二百五十二条
共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み,共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で決する。
共有物を使用する共有者があるときも,同様とする。
2 裁判所は,次の各号に掲げるときは,当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により,当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い,その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。
一 共有者が他の共有者を知ることができず,又はその所在を知ることができないとき。
二 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において,当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。
3 前二項の規定による決定が,共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは,その承諾を得なければならない。
4 共有者は,前三項の規定により,共有物に,次の各号に掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって,当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。
一 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等 十年
二 前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 五年
三 建物の賃借権等 三年
四 動産の賃借権等 六箇月
5 各共有者は,前各項の規定にかかわらず,保存行為をすることができる。
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