土地売買時のトラブル事例
建物解体時に、地面の下から埋設物が出てくることがあります。
その場合の具体例とともに、売買契約上の留意点についてお話しします。
今回、これだけの物が埋まっていました。どうやら古い防火水槽のようでした。
しかし、個人宅の土地にこんな物が埋まっていたなんて。
深さは3メートル近くあり、道路の下まで入り込んでいる可能性がありました。撤去しようとすると、道路側溝が落ちて壊れてしまうかもしれません。
売主様と買主様に状況を報告し、撤去方法を提案して作業に入りました。
新しい重機とバケットのアタッチメントを手配して、コンクリートを挟んでは砕いてといった具合に作業を進めました。
今回は、何とか側溝を壊さずに全て撤去することができましたが、いつもこのように全てが撤去できる訳ではありません。
追加費用は、100万円まではかかりませんでした。工事期間は余分に一週間くらいかかりました。
過去に私が売買した土地で、60坪広さで、最高400万円の追加撤去工事が出たことがありました。
土地区画整理地内の土地で、おそらく、区画整理の工事中に出た廃棄物等を撤去せずにその土地に埋めたようでした。
もちろん、行政にクレームを言いましたが、行政は時効を理由に全く責任を取ろうとはしませんでした。不法行為が有っても20年で消滅時効になってしまうのです。
契約不適合責任
不動産(今回は土地)の売買では、売主が契約不適合が有った場合、責任を負うのか負わないのか、そして、その期間を定めて買主と売買契約を結びます。
契約不適合責任という言葉は、2020年4月1日の民法改正から使われるようになりました。それまでは瑕疵担保責任という言葉を使っていました。
今回、買主は、住宅を建築する目的でこの土地の売買契約を結びました。そして、売主は土地売買契約に際し、契約不適合責任を土地の引き渡し後3ヶ月間負担することになっていました。
ですから、この定めにしたがって、売主の責任と費用負担で撤去工事を行った次第です。
もちろん、買主が合意すれば契約不適合責任を負担しないという売買契約も結ぶことはできますが、このような埋設物が出てきた場合は必ず大きなトラブルに発展しますので、弊社ではそのような契約はお勧めしかねます。
いくらそのように謳って契約をしたとしても、不動産の売買代金は高額です。買主は、売主は知ってて隠して売ったのではないかと考えることもありますし、納得しない買主は裁判をおこす可能性もあります。
もし、費用負担を心配されるのでしたら、あらかじめ上限金額をお互いの合意で定めておくのはいかがでしょうか?
不動産(土地)の売買契約時に一番肝を冷やすのが、このような地面の下の問題です。このようなトラブルを解決するのも不動産業者の大事な仕事です。
関連した記事を読む
- 2024/12/02
- 2024/10/15
- 2024/10/11
- 2024/09/09