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2021年06月04日
知識

売買契約後に売主様が亡くなった場合

不動産の売買契約は契約から引渡しまで1年以内に行われるケースがほとんどです。

それでも、ご高齢の売主様が増えたこともあり、私も契約してから引渡しの間に、不幸にも売主様がお亡くなりになったり意識不明の状態になったことがあります。

買主様がお亡くなりになったことはありませんが、これもあり得る話しです。

このような場合、売買契約はどうなると思いますか?

 

売買契約後に当事者の一方ないしは双方が死亡したとしても、売買契約は効力を失いません。この場合、その人の権利義務は原則として相続人が承継します。

 

ですから、売主様が死亡した場合、買主様は売主様の相続人に対し、購入した物件の所有権移転登記を求めることが出来ます。

 

また、売主様の相続人が複数いる場合、相続人は相続分割合に従って売買物件の共有者になるとされています。

 

ですから、相続人は所有権移転登記義務については連帯債務の規定に従って履行をすることになります。

 

したがって、買主様は売主様の1人に対して全部の履行を求めることも出来ますし、全員に対して全部の履行を求めることも出来ます。

 

もし、相続人が所有権移転登記に応じない場合は、訴訟を提起して、判決に基づいて登記をすることも出来ます。

 

また、相続人が所有権移転登記に応じない場合は、相当の期間を定めて催告し、その期間内に応じない場合は契約の解除も出来ます。

ただし、売主様の相続人が複数の場合は、その全員に対して解除権を行使しなければばらないので注意してください。

 

私の場合は、買主様に事情をお話して、売主様の相続登記を行い所有権移転(物件の引渡し)を行いました。

 

このような場合、相続登記が完了するまでに少し時間がかかることもありますが、買主様が引渡しを急いでいたとしても、これは不測の事態ですので我慢していただきたいと思います。

 

このように、売主様がお亡くなりになった場合は、相続登記を行うことにより取引は完了出来ますが、売主様が意識不明の状態になった場合は何ともなりません。

 

真冬だったと思いますが、物件の引渡し直前に売主様と音信不通になったことがあります。自宅も留守、携帯電話も繋がらず、ご家族が居ない方で本当に困ってしまいました。

 

数日後に電話に出たのは、売主様が通っていた飲み屋の女将さんでした。電話を忘れてしまったらしく、そこで売主様が救急車で病院に運ばれたことを知りました。

病院がわかったのでお見舞いに行きましたが面会謝絶の状態でした。

 

結局、意識が回復するまでは何にも出来ませんので、買主様には事情をお話しして、ひと月ほど待機することにしました。

数ヶ月後には何とか意識を取り戻されたので、その後は司法書士が病院で本人確認を行い、意思確認も無事出来ましたので所有権移転が出来ました。

 

あまり経験したくないことですが、このような特殊なケースもあります。

不動産売買契約書とその約款についてはこのような特殊なケースについては記載されていません。その代わりに、下記のような文書が記載されています。

 

『この契約に定めがない事項、又はこの契約条項に解釈上疑義を生じた事項については、民法その他関係法規及び不動産取引の慣行に従い、売主及び買主が誠意をもって協議し、定めるものとする。』

 

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