一括査定の次はAI査定ですか・・・
先日、私が10数年前にお世話したお客様から連絡がありました。
お客様曰く、『ちょっと事情があり、堀田さんに相談する前にAI査定をやったら、我が家が○○○○万円って言われたんだけど、高過ぎますよね?』
私、『そんな金額になりましたか!でも買う人いないと思いますよ!』
お客様、『私でも買いません!』このような会話になることが多いです。
ちなみに、AI査定とは、売出事例や成約事例などを大量に蓄積し、AIがそのビックデーターを駆使して瞬時に査定金額を出すサービスのことです。
このAI査定が何故、大きく査定金額を外すことがあるのでしょうか?
一つ目の理由
現在の日本の不動産取引では、全ての成約情報が管理されていません。レインズにも成約情報を登録できるのですが、法的な登録義務が無いため、ほとんど登録されていません。
そうすると、AIで収集出来るのは、売出情報かあるいは自社で販売した成約情報になってしまいます。
直近の成約事例が全て集められなければ精度が落ちて当然です。
二つ目の理由
建物はコンディションによって成約価格には数百万円の差が出ることがあります。このコンディションの評価は中を見ずに行うことは不可能です。
また、間取りだけでなく、内装・外装の色目によっても評価が変わることもあります。
建物から見た周辺環境も考慮しなければなりません。
さらに、日本の建物は木造ですら、坪40万円以下のローコスト住宅から坪80万円の高級住宅まで幅広い価格帯の住宅があります。
現在のAI査定ではこれらの情報まで精査をした評価など出来るとはとても思えません。
したがって、特に中古住宅の場合はとんでもない評価になることが有り得ます。
AI査定はまだまだこれからです!
全ての成約情報が収集出来ることが大前提です。
その上で、土地ならば、道路幅員・土地形状・高低差等の補正まで行えるようにならないと精度はあがりません。
建物の場合は、土地以上に複雑な補正を行わなければなりませんが、実質これは難しいと思っています。
もし、出来たとしても、査定者の入力情報が膨大になりますので面倒臭くてやらないでしょうね。
結局のところ、手軽に出来ることを売りにして、自社への訪問を促すツールだと思います。
AI査定をしたお客様とお話ししていて一番困るのは、人間って不思議なもので、いい加減かもしれないとわかりつつも高い金額が頭に残るものなんですよね!
以前に、一括査定のブログでも書きましたが、不動産会社が売却依頼を取りたいが為に出した異常に高い査定金額が頭にこびり付いて残ってしまうのと同じなんです。
査定書もなく出てきた金額でも、先入観として頭に残ることは売却を進める上でマイナスになることが多いです。
売れない金額が頭にこびり付いてしまっているお客様の洗脳を解くのは本当に大変です。
このような場合、どうしてもご納得いただけない場合は、AI査定の金額をチャレンジ価格として市場に出さなければならないこともあります。
その結果、長期間売れなかったり、売却を取りやめたお客様もいらっしゃいます。弊社もお客様もともにメリットはありません。
一括査定やAI査定は、以前からある『車の一括査定』がモデルになっているように思います。
あのサービスを利用したことがありますが、登録した途端、電話が鳴りっぱなしになり驚いたことがあります。
利用者は、気軽に今の価値を知りたいと思って登録するのですが、実態は車屋さんが仕入れる為のサービスなんですよね。
車の場合は、AI査定でも割と正確な価値を知ることが出来ると思います。これは、市場に流通している数が多く、同一条件での比較検討が十分に可能だからです。
ところが、不動産の場合は、個別要件が多すぎて、簡単に比較検討が出来る物件は限られています。
この違いを理解していただければと思います。
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