買主様を保護する『ローン特約』について
不動産を購入する方の多くは住宅ローンを利用します。住宅ローンは売買契約締結後に本申込みを行うルールになっています。
住宅ローンが否決された場合、買主様が売買契約を白紙解除できるのが『ローン特約』です。
売買契約書の記載内容(全宅連の書式)
1. 買主は、この契約締結後すみやかに、標記の融資のために必要な書類を揃え、その申込手続きをしなければならない。
2. 標記の融資未承認の場合の契約解除期限までに、前項の融資の全部又は一部について承認が得られないとき、又金融機関の審査中に標記の融資未承認の場合の契約解除期限が経過した場合には、本売買契約は自動的に解除になる。
3. 前項によって契約が解除された場合、売主は受領済の金員を無利息で遅滞なく買主に返還しなければならない。同時に本物件の売買を媒介した宅地建物取引業者も受領済の報酬をそれぞれ売主・買主に無利息にて返還しなければならない。
4. 買主自主ローンの場合、買主は、融資に必要な書類を標記までに金融機関等に提出し、その提出期限が経過し、売主が必要な催告をしたのち標記の融資未承認の場合の契約解除期限が過ぎた場合、あるいは故意に虚偽の証明書等を提出した結果、融資の全部又は一部について承認を得られなかった場合には、第2項の規定は適用されないものとする。
金融機関
住宅ローンを利用する場合の不動産売買契約は、融資の事前審査を通してから行うのが一般的です。
物件が取り合いになっている場合、早く売買契約をする為に不動産会社の勧める金融機関で事前審査を通すこともあると思います。
この場合、売買契約書には事前審査を通した金融機関を記載することもありますが、絶対に売買契約書に記載した金融機関で借りなければならないわけではありません。
もっと条件の良い金融機関が見つかればそちらで進めれば大丈夫です。
契約解除期限
弊社の場合は、売買契約日から1ヶ月の期間で設定することが多いです。
事前審査が通っている場合は、融資の本申込みをしてから融資の本承認が得られるまでの期間は2週間程度ですので、売買契約の翌週に融資の本申込みをしていただければ十分間に合います。
ただ、買主様が金融機関を絞り込めていなくて悩んでいるような相談を受けた場合は、売主様にもお願いをして契約解除期限を長く取ることもあります。
複数の金融機関に相談をしていると2週間くらいはすぐに経過してしまうこともよくあることです。
また、団体信
用生命保険の告知内容によっては審査期間が長引くことがあります。このような場合は、買主様と相談して売主様に契約解除期限の延長をあらかじめ申し出るようにしています。
融資の事前審査時に団体信用生命保険の審査も同時に行っておけばこのようなことにはなりません。
それから、弊社が住宅ローンのリードをしている場合はともかく、買主様が主導でご自身で住宅ローンの本申込みを行う場合は、どうしてものんびりになりがちです。
ローン特約は買主さまの住宅ローンが通らなかった…というやむを得ない事態に備えて、売主さまへ一方的に負担を押し付ける特約です。
ローン特約を解除できる権利として捉えている人もいますけど、それは間違っていると理解しておいてください。
ローン特約の悪用は許されません!
住宅ローンを借りれなくするのは簡単です。ここでは記載しませんが、昔は契約を白紙解除するためにそのような行為をする方もみえました。
今では、買主様が、虚偽の証明書を提出する・契約後に転職をする・新たな借り入れをする等の売買契約時(事前審査が通った時)と違う状況を自ら作った場合は、ローン崩しとみなされ、このような場合はローン特約は適用されません。
ちょっと厳しい契約書もあります
新築分譲住宅を販売する会社の売買契約書は少し厳しい内容になることがあります。
通常、住宅ローンは各金融機関の金利等の条件を考えて決めますよね。したがいまして、毎月返済額や総支払額も金融機関によって異なることになります。
買主様からみれば、事前相談した条件の良い金融機関で借りたいのが心情ですよね。ところが、事前審査が通っていても、諸事情により融資の本審査が否決されることも極わずかですがあります。
ところが、売買契約書には『○○銀行他』と記載されています。そして、ローン特約は、どの金融機関でも融資が否決された場合のみ適用されると記載されていることがあります。
この場合は、買主様が望む返済計画にならなくてもローン特約は適用されないと言うことになります。
もちろん、販売会社が無茶苦茶な金利の金融機関を紹介するような行為はしないと思いますが、個人的にはちょっと厳しいな!と感じますね。
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