違法建築物は登記できるか?
現在では新築時の住宅の違法建築物は、かなり少なくなったと言えます。
着工前の建築確認や、工事中の中間検査、工事後の完了検査と一連の検査が厳しくなったことや
平成15年に国土交通省から各金融機関に対して「完了検査に基づく検査済証のない建物への住宅ローン融資を控えるように」といった要請がされたことで銀行も重要事項説明書をよく見て、建物が違法建築物でないかなどを審査し、違法建築物には融資を控えるようになった影響が大きいと思います。
しかし、中古住宅の仲介をしていますと、知らずにあとから違法建築物になってしまている中古住宅があります。
違法建築物と既存不適格建築物
『違法建築物』とは、法律や条例に違反している建築物をいいます。
違法建築物の具体例としては、
(1)建ぺい率や容積率の制限を超えて大きく建てられたものや完成後に違法な増築がされた場合
(2)接道義務を満たしていないケース
(3)斜線制限が守られていないもの
(4)条例や自治体の指導要綱に違反しているケースetc
などがありますが、完成後しばらくしてカーポートなどを設置して、建ぺい率オーバーになっている家はよく見かけます。
一方、違法建築物と似ているものとして、『既存不適格建築物』と呼ばれる建築があります。
こちらは、建てられた当初は法律に適合していたものの、その後、法律が改正されたために新しい基準に適合しなくなってしまった建物のことを指します。
たとえば、建物を建てた後に、都市計画法、建築基準法の改正に伴い、市街化調整区域内の建築物の容積率や建ぺい率などの数値の変更があり、容積率が、オーバーしてしまっているという状況の建物です。
安城市でもこのケースの分譲マンションがあります。
既存不適格建築物の場合、一定規模以上の増改築工事をするときや、建て替え工事をするときには、現在の基準に合わせる必要があります。
マンションの場合、現在の基準に合わせると、再建築の際、容積率の関係で戸数が少なくなってしまうなどが考えられますので、注意が必要です。
さて、違法建築物について、登記を行うことはできるのでしょう
か?
結論から言いますと、登記は可能です。
ただし、登記ができたとしても違法建築物に変わりはありません。
将来、中古住宅として売却しようとしも、違法建築物は住宅ローンを組むことができないので、買い手を見つけることが困難になります。
特に、敷地の一部を売却したり、後から増改築する場合や、カーポートを設置する場合など、建ぺい率オーバーになりやすいので、注意が必要です。
カーポートなど、取り外しが比較的容易なものはまだ良いのですが、過去にはサンルームを増築したために建ぺい率オーバーになってしまい、買い手を見つけるのに苦労したケースもありました。
新築住宅を購入する際にも、建ぺい率が何%になっているかを確認するのを忘れずに!
例えば、建ぺい率が60%と決めれれている場合、購入する建物がすでに、58%とになっているとしたら、敷地が狭いとカーポートを2台分設置したら、建ぺい率オーバーになってしまいます。
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