共有私道工事に必要な所有者の同意について
砂利の共有所有の私道の話です。
舗装されていない道路を通ると、タイヤの跡が残ります。雨の日にはぬかるみもひどく、舗装したいと思っても、改正前民法では、砂利をアスファルトに変更する行為は、共有物に変更を加えるものであり、共有者全員の同意が必要であると考えられてきました。(改正前民法251条)
しかし、所有者の一部が所在不明のため、工事の同意を得られない場合や、1人の反対などで工事ができないなどの事案が発生しています。民法改正によりどう変わったのでしょうか?
事例①
1)未舗装の砂利道として利用されている。
2)歩道として利用されているが、車の通行も可能である。車道としての利用を容易に するため、砂利道をアスファルト舗装する。
3)工事の実施主体は、②~⑥の共有者である。
4)地方公共団体の助成制度において、助成対象となるアスファルトの材質、施工方法等
が詳細に定められており、これに従った工事を実施する。
ガイドライン
改正民法においては、共有物に変更を加える行為であっても、形状又は効用の著しい
変更を伴わないもの(軽微変更)については、持分の過半数で決定することができるこ
ととされた(改正民法第251 条第1項、第252 条第1項)。
そして、砂利道のアスファルト舗装は、一般に、形状に関しては、砂利を除去して下
層路盤・上層路盤を整備してアスファルト面を施工するなど、ある程度の変更を伴うも
のの、著しく変更するものではなく、また、効用に関しても通路としての機能を向上さ
せるに留まるものであることを勘案すると、軽微変更に当たると考えられる。
そのため、本事例では、①~⑥の所有者の持分の過半数の同意を得ることによって、
路面をアスファルト舗装する工事を行うことが可能と考えられる。
なお、上記のルールは、共有者の一部が所在等不明であるケースに限って適用される
ものではないため、例えば、本事例で②の所有者がアスファルト舗装に反対しているケ
ースであっても、③~⑥の所有者(持分合計3分の2)の同意があれば、舗装工事を行
うことは可能であると考えられる。
また、①の所有者のみならず、②及び③の所有者もその所在等が不明の場合、又は新
規舗装に対する賛否を明らかにしない場合は、④~⑥の共有者は、所定の手続に従い、
裁判所の裁判を得て、所在等不明又は賛否不明の共有者以外の共有者である④~⑥の共
有者の持分の過半数の決定により、舗装工事を行うことが可能である(改正民法第252
条第2項第1号、第2号)
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