地中埋設物について告知しているにもかかわらず、損害賠償請求された案件
土地の売買契約で、物件状況報告書で地中埋設物について告知したのに、
「訴えられちゃったよ」って話です。
東京地裁の判決がありますのでご紹介します。
物件状況報告書で、告知したのに・・・
土地の売買契約時に、売主が買主へ交付した物件状況報告書において、地中埋設物として旧建物基礎を発見している旨、過去に地下室のある建物が存在しており、その後駐車場にするつもりであったため、その解体ガラを地下室に入れて埋めた旨の告知を行い、売買契約を締結した。
その後、買主はAへ転売したところ、Aから地中埋設物の撤去に1,000万円かかるのということで、売買代金の減額請求を受け、売買代金を減額する合意をした。
買主は、転売した相手のAから1000万円の減額請求をされちゃったということで、売主に対し、
「ガラ以外に建物の地下部分、梁、基礎が残ってるやんか!それにな、どの程度基礎の梁が残っているのか、建物の解体時にどの程度ガラを入れたか説明なかったやろ!隠れた瑕疵や~!売主へ損害賠償請求したる!おりゃー」
ということで、法廷で争うことになりました。
棄却の判決
売主が買主に対して、契約時に取壊し済の閉鎖謄本を添付し、具体的な埋設物の内容を説明していることから
①買主は建物解体時に生じたガラが埋められていることを認識していたと認められ、建物の梁・及び基礎並びにコンクリート破片は隠れた瑕疵とはいえない。
②売主が埋設物を過少に説明した事実がない。
③売主・買主は協議の上、物件状況報告書を作成していること、買主が土地の埋設物の内容について認識していたことから説明義務違反にもとづく請求に理由がない。
以上により、買主の請求は理由がないということで、棄却する判決が出ました。
(東京地裁 令和2年5月27日判決)
具体的な説明と資料
売主から買主に
①具体的な埋設物の内容
②取壊し済の建物の閉鎖謄本を添付
しており、隠れた瑕疵にあたらないと認められています。
売買契約締結時の物件状況報告も売主、買主で協議の上作成されていることから、説明義務違反にもとづく請求も理由がないという判決でした。
資料を元に、具体的に説明することがとても大切で、今後の物件状況確認書の作成の参考にもなる判決でした。
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