レオパレス21不正事案 オリジナル仕様?
レオパレス21が施工した賃貸共同住宅で建築基準法不適合があったこと、皆さん覚えていらっしゃると思います。建築士の講習会でも取り上げられていましたので、簡単な対策も含めまとめました。
レオパレスといえば、入居者の方から、隣の部屋のテレビの音や、スマートホンの着信音が聞こえるとか、チャイムが鳴ったので玄関の戸を開けたら、隣の部屋のチャイムだったとか、都市伝説のような、入居者の声があります。
下記のような建築基準法の不適合部分を見ると、火災があったら、すごいことになってたなと思います。高いお金を支払ったのに、違法建築物を提供されたオーナー様も被害者ですが、入居者の安全のことも考えてなかったのかと、ほんとに残念な事案です。
1)小屋裏等界壁の不備
レオパレス21が施工したネイルシリーズおよび6シリーズで、小屋裏等界壁が施工されていない、または欠損が見つかり、建築基準法の疑いが判明。また同社が設計し、施工した共同住宅においても同様の不備が判明しています。
界壁の役割は遮音性と延焼防止です。
界壁がないと音が筒抜けになってしまいます。スマホの着信音まで聞こえたと、入居者のインタービューの声がありました。また、万が一火災が発生した場合、隣の部屋への延焼防止の役割をしますが、界壁がないと燃え広がりやすくなります。
<建築基準法>
長屋又は共同住宅の各戸の界壁(住戸の間を仕切る壁・床※)は、準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏まで立ち上げる。
2)界壁・外壁・天井の不備
◎界壁に断熱材のグラスウールが使用されずに発泡ウレタンが使用され、建築基準法の規定に達する遮音性を満たしていない可能性がある物件が発覚。さらに天井部の施工が仕様に適合しない不備がある物件も発覚
◎外壁に発砲ウレタンが充填された外壁を使用したことから、外壁に用いるサイディングの取り付け方法や外壁下地材の間隔等が、国土交通大臣認定の仕様と異なるものであったため、建築基準法違反の疑いが判明。
◎さらに、屋根又は床直下の天井が、告示で規定している1時間耐火構造の仕様と異なるものであったため、建築基準法違反の疑いがあることが判明。
設計図通り造ったほうが楽じゃない?社内的にレオパレスオリジナル仕様の施工図でもあるの?っていうのが感想です。
3)耐火建築物の界壁の不備
界壁において、耐火構造等を規定した国土交通大臣認定の仕様に適合しない不備があり、建築基準法違反の疑いが判明しました。
図の強化せっこうボードはガラス繊維などを入れて、耐火性能を強化したものです。本来なら、強化石膏ボードを2重貼にするところを、普通の石膏ボードをしかも、厚みの違うものを2重貼しています。
石膏ボードの種類は、表面の色と裏側の表示で区別します。普通の石膏ボードは黄色、強化ボードはグレーです。建築途中なら、オーナー様が見てもわかります。
仕上げをしてしまうと分からなくなりますので、仕上げ前にチェックをしなければなりません。
工事中は現場に足を運ぼう
着工したら、定期的に現場に足を運び、工事中の写真や記録をとりましょう。証拠を残すという目的以外に、職人や現場監督との会話から、本当に工事監理されて建てられているのかわかります。
欠陥を防ぐには、業者との利益関係のない第3者の建築士の工事中のチェックが一番良いですね、費用はかかりますが・・。
おかしいなとか疑問に思ったら、疑問点を書面にし、工事の請負契約者に対し、書面による回答を要求します。今後の証拠になります。
業者任せにしないで、現場に顔を出すことにより、現場の職人にも「見られている!」という緊張感を与えるのが大事です。
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