中古住宅は必ずインスペクションをします!
弊社が中古住宅の媒介をいただく場合は、必ず自社でインスペクションを行います。
劣化事象が無くインスペクションに合格する建物であれば価値を高く付けることができます。もし、劣化事象が有った場合でも対処方法を考えてから販売をスタートします。
事前に建物のコンディションを十分に把握することにより、商談になってからのトラブルを防ぎスムーズに成約することに繋がります。
私は2級建築士でもありますので、講習を受けて既存住宅状況調査技術者資格者証を取得しています。
簡単に言えば、建築士免許の範囲内の建物であれば、建物状況調査(インスペクション)をすることが出来ると言うことです。
中古住宅の売却のご相談を受けた場合は、次のように進めて行きます。
設計図書等の確認
設計図書や建築確認申請書がなければ、そもそもどんな建物なのかハッキリ判断することができません。
もちろん、仕上げ材は見た目で判断できる物も多いのですが、壁の中のことはわかりません。
私たちが登記簿や固定資産証明書を取得して確認できるのは、建物の新築年月日・面積・大まかな構造や屋根の種類くらいです。
木造でも在来工法、2×4工法など様々な工法があります。それらの工法の違いも建物価格の査定に影響します。
設計図書とは具体的には、下記のようなもののことを言います。
●建物の仕上げ表
●配置図
●各階の平面図
●立面図
●断面図
●矩計図
●基礎図面
●電気配線図面
●給排水図面
●地盤調査報告書
●地盤改良図面etc
建物が注文建築の場合は、設計図書を保管してみえるケースがほとんですが、建売りの場合は販売会社によって買主様に渡す図面はまちまちでした。
2000年より以前の建物の場合、建築確認申請書とそれに付帯された配置図・各階平面図・立面図・断面図・矩計図があればいい方です。
2000年以降は、住宅性能表示制度が実施されるようになり、性能評価書を取得している建物は評価書を見せていただければ建物の基本性能をしっかり判断できるようになりました。
これらの設計図書が有った方が買主様も安心出来ますし、実際、リフォーム業者も助かります。
設計図書で建物の耐震性等を確認し、図面を参考にしながら実際の建物のインスペクションを行います。
外部の検査
【基礎】
・0.5㎜以上のひび割れがないかクラックスケールで計測します。
・コンクリートに20㎜以上の欠損がないか確認します。
・ひび割れからさび汁がないか確認します。
・基礎の立ち上がりなどに蟻道がないか確認します。
【外壁】
・0.5㎜以上のひび割れがないかクラックスケールで計測します。
・著しい腐朽等(菌体(カビ、茸類)の付着を含む)がないか確認します。
・シーリング材の破断又は欠損がないか確認します。
・軒裏天井の雨漏れの跡がないか確認します。
【屋根】
・屋根葺き材の著しい破損、ずれ、ひび割れ、劣化、欠損、浮きがないか確認します。
・水切り金物等の著しい錆又は腐食等がないか確認します。
【バルコニー】
・手すりと壁の繋ぎ目のシーリングの状態を確認します。
・掃き出し窓の下のシーリングの状態を確認します。
・床の著しいぐらつきがないか確認します。
・著しい腐朽等(菌体(カビ、茸類)の付着を含む)がないか確認します。
内部の検査-1
【小屋裏・梁】
・金物に著しい錆がないか確認します。
・雨漏りの跡がないか確認します。
・シロアリの蟻道がないか確認します。
・木材が腐っていないか確認します。
・配管からの水漏れや水漏れ跡がないか確認します。
【天井・内壁】
・著しいひび割れがないか確認します。
・雨漏り、シミの跡がないか確認します。
・著しい腐朽等(菌体(カビ、茸類)の付着を含む)がないか確認します。
・サッシの著しい開閉不良がないか確認します。
【床・壁・柱】
・6/1000を超える傾斜がないかレーザーレベルを使って確認します。
内部の検査-2
【土台・床組・基礎・床下配管】
・コンクリートに0.5㎜以上のクラックか20㎜以上の欠損がないか確認します。
・シロアリの蟻道がないか確認します。
・木材が腐っていないか確認します。
・配管からの水漏れや水漏れ跡がないか確認します。
【給排水】
・給水、給湯管、排水管から水漏れがないか確認します。
・配管が腐っていないか、損傷していないか確認します。
インスペクションに合格した建物は、現在のところ劣化が基準以内と言うことで価値を高く付けることが可能になります。
また、部分的に劣化事象を発見した建物で有っても、販売前にその対処方法を考えることができますので、売却後のトラブルを防止することも可能になります。
実は不動産業界では、木造戸建住宅を築20年程度で市場価値0とみなす取引慣行が存在していました。
これを解消し、リフォーム等により手をかけた住宅が適切に評価されるよう、築年数のみによらず、住宅の使用価値を適切に反映した評価手法への改善が行われています。
もちろん、最終的には中古住宅の市場価値を決めるのは買主様になりますので、中古住宅の価格がを上げるのはそんなに簡単なことではないかもしれません。
それから、国交省の施策により、インスペクションに合格した建物は下記のようなメリットがあります。
合格した建物のメリット
・新耐震基準を満たし、かつインスペクションに合格した建物の場合は『既存住宅売買瑕疵保険』に加入できます!
【個人間売買の場合】
保険期間1年間または5年間。支払い限度額1,000万円(保険法人:日本住宅品質検査センター㈱の場合)
2022年度の条件緩和
これまでは、木造の場合は築20年、RCの場合は築25年を超える住宅の場合は、耐震基準適合証明書を取得したり、インスペクションに合格し既存住宅売買瑕疵保険に加入しない場合は住宅ローン減税が受けられませんでした。
ところが、今回の条件緩和により、『昭和57年以降に建築された住宅』(新耐震基準適合住宅)であれば住宅ローン減税を受けられることになりました。
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