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2021年02月22日
中古マンションのお話

フルリフォームマンションの売買における裁判例

買主は、宅建業者が売主のフルリフォーム済みの中古マンションを購入しました。

居住後、キッチンに水を流すと、残飯や汚水の逆流が発生したため、調査したところ排水管に詰まりが生じていたことが判明しました。

そこで、買主は、下記事項を理由として売主の宅建業者に、逆流の調査費用と補修費用等の支払いを求め裁判を起こしました。

買主の主張

●配水管に詰まりがあるこのマンションは、居住用マンションとして期待される品質および性能を欠いている。

●売主は、『新築同様にフルリフォーム完了!』と広告表示して売り出しした為、排水管に詰まりが存在することは、瑕疵に当たる。

●この瑕疵は、買主が通常の注意を払っても発見が難しい性質のものであるから、隠れた瑕疵に該当し、売主は契約不適合責任により、買主が被った損害を賠償する責任がある。

●売買契約では、共用部分の持分も売買対象であり、売主の責任は否定されず、また売主が宅建業者の場合は、宅建業法40条から契約不適合責任を制限する特約によって売主の責任が免責されることはない。

●売主は、買主の意思決定に影響を及ぼす重要な情報や、重大な不利益をもたらすおそれがあり、契約締結可否判断に影響を及ぼすことが想定される事項に関し、調査を行わず説明しなかったのであるから、説明義務違反による不法行為が成立する。

判決

裁判所は、下記の通り判示し、買主の請求を棄却しました。

 

●キッチンに一度に多量の水を流すと、一時的に水が滞留し排水口から空気が噴出する場合もあるが、流水の状況は短時間で流れきる程度のものであり、キッチンの使用に特別支障になるとは認めがたい。

●建物は昭和43年12月築で、売買契約当時、築44年以上が経過しており、設備等に新築物件に劣る部分があることは当然に想定される。

●建築後、相当年数を経過した中古マンションであることは売買契約の前提であり、リフォームが行われていたとしても、新築物件と同様の品質および性能を備えることはおよそ期待できる状況にはなかったと考えられる。

 

感想

刈谷市・安城市・知立市のマンションも築25年以上経過したものが多くなって来ました。

このような物件が内装や設備等の劣化が進んでいることが多く、建築業者が買い取ってフルリノベーションマンション』として売り出すことも増えました。

マンションはRC造ですから、内装を全部撤去して自由に作り変えることが可能です。

建築会社により内装や設備等は異なりますが、センスよくフルリノベーションしたマンションは気持ち良いですよね。

ただ、配管の洗浄や共用部分のメンテナンスは、マンション全体の補修工事として行うものです。

その為に、修繕積立金を積み立て、長期修繕計画を基に快適な生活が続くように修繕を続けて行きます。

今回の裁判は、築44年の中古マンションの共用部分の設備の劣化による不具合を争ったものですが、共用部分のメンテナンスがどのように行われて来たのかはわかりません。

不動産業者が中古マンションを仲介する際には、管理会社に『重要事項にかかる調査報告書』の取得を依頼します。

また、売主様が保管していれば、総会の議事録等も取得します。これらの資料の中には、これまでの修繕の記録も入っています。

気になる方は、売買契約前にこれらの資料を提供していただき、熟読しておくと良いのではないでしょうか?

 

 

 

この記事を書いた人
堀田 秀隆 ホッタ ヒデタカ
堀田 秀隆
元々は、某トヨタ系企業に就職した技術者でしたが、某ハウスメーカーで営業を、設計事務所で設計を学び、弊社では分譲住宅の設計・施工・現場管理をした後、現在の不動産営業をしております。 この仕事はつくづく「人生相談」に似ていると実感してます。私の経験・知識・人脈をフル動員して皆様のご相談に乗らせていただき、安心したお取引が出来るように全力で頑張ります。
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