マンションの選別が始まる？管理計画認定制度

1990年代に急増したマンションが築30年を超え、老朽化に伴い適切な管理や修繕を行われていないマンションの劣化が問題になっています。

2001年にできたマンション管理適正化法では、マンション管理の主体は管理組合とマンションの住人であることを前提としていますが、実質的にはマンションの管理会社に業務を委託している場合が多いため、マンション管理適正化法において専門知識を持つ「マンション管理士」の資格制度を新設しました。

従来より存在する管理会社については、管理業の登録と「管理業務主任者」という専門資格保有者の設置を義務付けました。

マンションの管理に関するルールを法制化し、管理組合や住人、さらにはマンション管理業者に対して管理に関するそれぞれの義務を明確に定めました。

その後、都道府県等が適切なマンションの管理を行っていない管理組合に対し、助言・指導及び勧告ができように2020年の「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の改正をし、同改正により「マンション管理計画認定制度」が2022年4月1日施行されます。

「マンション管理計画認定制度」により、中古マンションを検討している購入希望者にとって、管理が適正に行われているかの判断基準になります。

区分所有者や管理組合は、マンションの管理会社に業務を委託し、その後はすべてお任せというマンションも少なからずあります。

管理費や修繕積立金からお金を出すならば、大規模修繕でなくとも、例えば、共用部分の植栽の剪定業者も相見積もりを取るなどして決めるべきだが、管理会社が紹介した業者で行ってしまうというケースがあるようです。

また、あるマンションの大規模修繕で管理会社が提示した金額が非常に高く、相見積もりを取ったところ、1,000万円以上金額が下がったケースがあり、管理会社の担当者に金額の差異について説明を求めたという事例もあります。

区分所有者が積み立てている修繕金が適切に使われているか、管理会社が作成した修繕計画案の内容で良いのかなど、管理組合（マンションの区分所有者）がきちんとチェックしないと修繕するためのお金が足りなくなってしまします。

既に、修繕積立金では大規模修繕のお金が足りず、借金をして大規模修繕をしているマンションもあります。

マンション管理について、無関心ではいけません。管理組合（マンションの区分所有者）が点検等のメンテナンス費用や修繕費用が適正金額かどうかをチェックする必要があります。管理会社の言いなりだと、高い費用を支払っている場合もありえます。

2022年4月1日から施行されるマンション管理計画認定制度とは、マンション管理組合の申請により、マンションの管理計画が一定の基準を満たす場合に、適切な管理計画を持つマンションとして自治体から認定を受けることができる制度です。

認定を受けることができるのは、自治体が「マンション管理適正化推進計画」を作成している地域にあるマンションです。

認定を受けたいマンションの管理組合は、管理規約や長期修繕計画、総会議事録等をまとめた管理計画を地方公共団体に提出して認定の申請をします。地方公共団体は認定基準を満たしているかを判断し、満たしていれば、適切な管理計画を持つマンションとして認定します。認定は5年ごとに更新をする必要があります。

中古マンションの購入を検討している者からすると、管理状態を客観的に判断する基準になり、さらに、

住宅金融支援機構の【フラット35】及びマンション共用部分リフォーム融資の金利の引下げ等が検討されています。(令和3年11月末日時点)

適正に管理されたマンションが市場において価値が評価されることが期待されます。

※都道府県でなく一般社団法人マンション管理業協会が行うマンション管理適正評価制度とは、マンション管理業協会の定めた評価項目に沿ってマンションの管理状態をチェックするものです。認定制度とは異なるものです。

下記は令和2年、令和3年に国交省が公表する行政処分を受けたマンション管理会社です。

元従業員が管理費等の財産を着服したり、会計報告や管理事務報告で虚偽記載をして処分されたケースです。なかには管理組合の知らない口座を勝手に開設し架空経費計上し不正入金を繰返し損害を与えたものもあります。

＜改善措置指示＞

令和3年12月24日　
日本ハウズイング株式会社
（東京都新宿区）

令和3年9月6日　
株式会社日鉄コミュニティ
（東京都千代田区）

令和3年4月23日　
株式会社トラストコミュニティ
（山口県下関市）

令和3年2月15日　
株式会社フージャースリビングサービス
（東京都中央区）

令和2年8月24日　
株式会社東京建物アメニティサポート
（東京都中央区）

令和2年6月3日　
積和管理関西株式会社
（兵庫県神戸市東灘区）

令和2年3月27日　
株式会社穴吹コミュニティ
（香川県高松市）

令和2年2月28日
東武ビルマネジメント株式会社
（東京都墨田区）

令和2年2月27日
リストコンストラクション株式会社
（神奈川県横浜市中区）

令和2年2月6日
コミュニティワン株式会社
（東京都世田谷区）

令和2年1月16日
株式会社カシワバラ・デイズ
（大阪府大阪市北区）

＜業務停止＞

令和2年3月19日
株式会社矢作建物管理
（愛知県岡崎市大門）

60日間の業務停止　複数の管理組合への管理事務報告の虚偽記載