長期優良住宅を勘違いしてませんか?
『長期優良住宅』の認定を取得している住宅って、文字通り、長~い間、優良な状態で住める家だと思っていませんか?
確かに、某分譲会社のパンフレットにも下のような記載があります。
『長期優良住宅認定制度は、日本の家を50年以上、70年以上、長く安心して使えるものにするために、2009年にスタートした国家プロジェクトです。』
『長期優良住宅に認定された家は、地震に強い・省エネ・長持ちする・メンテナンスしやすい家です。』
この記載は何も間違っていません。そして、以前のブログでも説明したように、長期優良住宅の認定を取得する為には、一定の基準を満たさなければなりません。
でもね、ローコスト系の新築分譲住宅でも長期優良住宅の認定を取得している会社もあります。
申請には費用がかかりますが、今の新築分譲住宅ならローコスト系の新築分譲住宅でも、取得する気になれば取得可能なんです。
逆にいえば、長期優良住宅ってそんなに凄い性能の住宅じゃあないんですよ!!
そして、同じ長期優良住宅の認定を取得していても、ローコスト系の住宅と一流ハウスメーカーの住宅とでは建物価格は2倍以上変わることもあります。
この二つの住宅の性能は一緒でしょうか?残念ながら違いますよね。どこが最も異なると思いますか?
一流ハウスメーカーの建物は外壁・屋根・バルコニー防水のメンテナンスが30年間メンテナンスフリーになっているものもあります。
ところが、ローコスト系の建物は10年毎にメンテナンスしなければなりません。
ええ?と思った貴方。長期優良住宅ならメンテナンス回数も少ない高級な外壁材を使っていると思ってましたか?
違うんです!!今現在まで、普通の安い外壁材で長期優良住宅の認定は取得できています。
そして、長期優良住宅の認定を取得した住宅を購入した場合、一般住宅と比べて税制面での優遇を受けることができます。
具体的には、住宅ローン減税の最大控除額の拡大、所有権保存・移転の登録免許税の軽減税率、不動産取得税の課税標準控除額の拡大、固定資産税の減額期間の延長が受けられます。
メリットはたくさんあります。ですから、長期優良住宅の認定が取得してある方がよいのは間違いありません。
ただ、長期優良住宅の認定された家だからといって、耐久性の高い屋根材・外壁材・防水が使用されているわけではないことは忘れないでください。
そして、長期優良住宅の認定を受けた場合、維持保全管理計画にしたがって適切なメンテナンスを行わなければなりません。
国が税制面の優遇をしてまで長期優良住宅を普及させたい理由は、定期的なメンテナンスをさせたいと考えたからでしょうね。
雨漏りするまでメンテナンスをしない家って本当に多いんです。その頃には構造躯体が一部腐っていることもあり、その結果、家の寿命が短くなってしまいます。
2009年に始まった制度ですので、2021年の現在、定期点検・メンテナンスを行う家が出始めています。
そして、所轄行政庁から維持保全の状況について報告を求められることがあります。これに応じなかったり、虚偽の報告をした場合は30万円以下の罰金になることがあります。
また、定期点検等の維持保全を計画通りに実施しない場合は、所轄行政庁より改善命令が出されたり、認定が取り消されることがあります。
認定が取り消された場合、補助金や住宅ローン減税で優遇された分について返還が求められることがあるので注意が必要です。
先日、長期優良住宅の認定を受けた中古住宅の売買をしました。中古住宅を購入された方は、特段、税制面の優遇を受けられません。
お客様に長期優良住宅の地位の承継するかどうか検討していただいた結果、今回は地位を承継したいと仰ったので市役所に地位の承継の承認申請をしました。
また、維持保全を取りやめる場合には、認定申請書の副本(第一号様式第一面のみ)と、認定通知書の原本を所轄行政庁に返還することになります。

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